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警視庁も動いた「八代汚職」では見えない「真の標的」
2026年06月05日(金)

 熊本県八代市の新市庁舎建設をめぐる汚職事件で、熊本地検は八代市議の成松由紀夫容疑者をあっせん収賄罪で起訴した。熊本県警にとっては久々の大型事件摘発であり、政治家が絡む贈収賄事件の立件に喝采が送られた。しかし、実態はやや異なる。

 

 成松容疑者は、ゼネコン準大手・前田建設工業から、新庁舎建設の業者を選ぶ一般競争入札に関して前田建設が落札できるよう便宜を図るよう依頼された。成松容疑者はこれを承諾し、市職員に不正行為を指示して前田建設に落札させたとされる。また、工事の利益を約11億円増やすよう要請され、それも実行に移したとされる。容疑の核心は、それらの見返りとして前田建設側から6000万円を賄賂として受け取ったというものだ。なお、成松容疑者は勾留理由開示手続きで容疑を否認している。

 熊本県警が本件の捜査に乗り出したのは2025年のことだ。捜査2課(贈収賄担当)の事件を立件することは、同警察にとって長年の課題だった。というのも、九州各県警を統括する九州管区警察局から熊本県警捜査2課は「やる気がない」と名指しで叱責されるという事態があったからだ。

 もっとも、当初から本件を本格的に捜査していたわけではなかった。成松容疑者は新市庁舎建設にとどまらず、病院建設などでもキナ臭い噂がたった、八代地区では知られた実力派市議。地元では以前から噂が絶えなかった。

 市民団体からも目をつけられ、地元ユーチューバーが取り上げたことで情報が寄せられ、その資料を基に、最終的に市民団体が告訴に踏み切った。それに後押しされるように捜査が動き始めたのだ。

 そこへ管轄外の警視庁が熊本に乗り込んできた。熊本県警と警視庁による合同捜査体制が組まれたのだ。

「合同捜査本部とは名ばかりのもので、記者会見も熊本県警と警視庁がそれぞれ別々に行うなど、連携のちぐはぐさが最初から露呈していました。警視庁が加わったことで大物政治家の関与があるのではと噂が立ちました。熊本県には、高市政権を支える木原稔官房長官と、ゼネコン業界と深い関係があるとされる金子恭之国交相の選挙区があります。とくに金子大臣の選挙区である熊本4区は八代市を中心とする地域。周囲は色めき立ちました」(地元記者)

 だが、今回の工事は市庁舎であり、国が関わるわけではない。そのため、なぜ警視庁が?と疑問の声があがっていたが、そのうちゼネコン準大手の前田建設工業が狙いなのかという見方が広がった。とはいえ、前田建設の贈賄行為はすでに時効となっているため罪に問うことはできないのだ。

「あまり報じられていませんが、今回の事件では前田建設の重要なキーマンが自殺しています。前田建設は全国でも同様な事件を起こしているようですがから、それらを含めて警視庁がマークしていたのでしょう」(同)

 熊本県警・警視庁の合同捜査本部は6000万円の資金の流れを追い、成松容疑者宅で袋の中に隠されていた1000万円の現金が発見された。また、成松容疑者と親しい元市議や団体職員、東京のIT業者など数人が資金洗浄に関与したとして逮捕されている。いずれも八代市では黒い噂が囁かれていた人物たちであり、熊本県南部ののどかな街・八代市を陰から牛耳ってきたグループとも言われる。

 勾留期限は18日。捜査関係者によれば、事件の捜査はこれで終わり、「これ以上は広がらない」という。やや竜頭蛇尾の印象も否めない。

 県警の快挙とも言い難いこの事件だが、思わぬ副産物もある。「九州の雄」と呼ばれる福岡県警捜査2課が、この件に刺激を受けたように事件摘発へと動き始めた。新課長の着任後、夏に向けて捜査員の士気は十分に高まっており、懸案事項の解決に向けて歩みだすと見られる。

 熊本県八代市の新市庁舎建設をめぐる汚職事件で、熊本地検は八代市議の成松由紀夫容疑者をあっせん収賄罪で起訴した。熊本県警としては久しぶりの快挙、政治家が絡む大型贈収賄事件の摘発に喝采が送られた。だが、どうも事実は違うようで。

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カテゴリー: 事件, 八代市, 贈収賄 
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