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道仁会vs九州誠道会、抗争終結の高いハードル
2013年10月09日(水)

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 10月7日、朝日新聞朝刊において「誠道会が『新団体』」なる記事が掲載された。そしてその日、熊本県・天草で浪川政治会長が十数人の誠道会直参を率いて、新団体「浪川睦会」の結成を発表した。今年6月、道仁会と九州誠道会との手打ち話が発表され、その推移を見守っている中での出来事であっただけに、福岡県警や報道関係者の間では、「これで手打ちはなくなった。抗争再燃か」という見方が強まっている。

 本題に入る前に道仁会と九州誠道会の抗争の歴史をざっと降りかえってみよう。

 2006年、道仁会の松尾誠次郎・二代目会長の引退に伴う後任人事を巡って組織が分裂。最大規模の傘下組織であった村上一家と意見を同じくする組織が道仁会から離脱して九州誠道会を発足させ、そのまま抗争に突入。6年の長きにわたり、47件の抗争がおき、一般人をも巻き込む形で14人の死者と多くの負傷者を出したのだ。

 そんな中 「道仁会と九州誠道会が手打ち」!というニュースがかけめぐったのは今年6月10日。その真偽をめぐって報道関係者や福岡県警関係者が深夜まで情報収集に動いたが詳細は分からず、翌11日に記者会見を開くという情報が駆け巡った。

  ところが、翌日記者会見は行われず、両会の幹部が久留米署にそれぞれの車で乗り付け、文書を記者クラブの幹事社に手渡すとすぐに退署してしまった。

 記者が受け取った文書には九州誠道会の解散と、それを条件とする道仁会の抗争終結が盛り込まれていたものの、小林会長と浪川会長ならびに両会の幹部の署名はなく、浪川会長の引退に関する言及もなかった。

  そのことから福岡県警はこの抗争停止・解散の声明は偽装の可能性があるとして、同県警はこの動きの背後を探るために、県内はもとより、道仁会とは関係のなさそうな東京や大阪、名古屋まで捜査員を派遣している。というのも、2年前から両者の和解をめぐる動きが九州四社会(工藤会、道仁会、太州会、熊本会)や住吉会、山口組なども巻き込みながら進められていたからである。

  確かに「解散文書」には重要な記載が欠けているため、偽装解散だという見方は強い。しかし、それを否定する声もある。

 「擬装なわけないやろ。水面下の交渉では、そう疑われてもしょうがない部分もあったけど、90%以上、お互いの歩み寄りは出来とったとよ」

  と語るのは、地元暴力団に詳しい事情通。

 「県警や他のヤクザがこの発表をどう捉えるか、っていう観測気球的意味合いもあったけど、改正暴力団対策法や暴排条例の施行やらあって、資金的に追いつめられとったとよ。それやのに抗争を続けるわけにはいかんやろ。そういう両者の強い思いがあったけん、手打ちすることになったとよ」

  道仁会の小林会長がその後、ゴルフをめぐる詐欺容疑で逮捕・再逮捕されるという事態があったが、それは織り込み済み。小林会長の逮捕によって発表がずれこまないよう、その前に発表を済ませたかったのだ。

  捜査関係者は言う。

「当初、偽装解散を疑っていましたが、発表後も両会幹部による会談が続いており、9月末の小林会長の第1回公判の傍聴には浪川会長が現れました。このことから、両者の関係は軟化し、和解に向けて動いているのでは、という見方に変わったのです。現在、逮捕拘留されている小林会長が10月中旬に保釈されるので、それに合わせて再度、合意文書が発表される可能性があると見ていました」

  正式な発表の後、九州誠道会の多くの組員は道仁会に戻るか廃業し、戻らない一部の組員たちは、独立した組織を立ち上げるのでないかと県警は予想していたという。

 ところが、その流れに逆らうかのように、10月7日の熊本県天草で九州誠道会による新団体の結成。一部の組員どころか同会がそのまま新団体に移行する形となり、抗争が再燃するのではないかと、県警の緊張感は一気に高まった。

  だが、小林会長が保釈される直前にこの発表が行われたということに注目したい。つまり未だに水面下では交渉が行われていると我々は見ている。

 一応、五分の立場で話し合いをするということを明確にするために、解散を表明したとはいえ九州誠道会側がまとまっているということを対外的に示すという政治的な行為と解釈することも可能だ。

「この新団体結成は小林会長も認めている」と浪川会長が同行記者に語ったといわれているが、そこに今回の行為のプロパガンダとしての意味があるのではないか。

  小林会長の保釈とともに第二幕が始まるだろう。そこに思わぬドンデン返しが待ちかまえているような気がしてならない。

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